〔sandbox SMART R1〕 焙煎プロファイル徹底解説~押さえておくべきワード・機能~

こんにちは、鷲の珈房です。

Sandbox SMART R2が発売されてますます人気が出ているSandboxシリーズの焙煎プロファイルの作り方を徹底解説していきます。

R1・R2共通アプリですので、どちらでも活用できます。

この記事で分かること

・R1/R2焙煎プロファイルの作り方
・コントロールポイントとは何か
・RORとは何か
・おすすめの焙煎プロファイル

Sandbox SMARTについての詳しい説明は別の記事で紹介しておりますので、そちらを参考にしてください。

目次

押さえておくべきワード・機能

まずは、知っておくべきワードやSandboxの機能を知っておきましょう。

火力

そのままですが、焙煎機の熱量の強さです。
Sandboxは電気で動くので、実際に火を見ることがないですが、ヒーターの明るさ(強さ)で見ることができます。

0~100まで5刻みで調整が可能ですので、かなり細かく調整することが出来ます。
ただ、家庭用焙煎機なので火力が極端に強くはないため、低くても60以上がおすすめです。50以下で焙煎を進めていくとかなりの時間がかかってしまうと思います。

ファン

ファンは内部の熱をどのくらい逃がすかという強さです。強くすると排気と共に香りも逃がしてしまうことにも繋がりますので、注意が必要です。

0~100まで5刻みで調整が可能です。

ドラム

ドラムは、いわゆる焙煎釜のことですが、Sandboxでは金属製メッシュの生豆をセットする部分です。

回転速度は豆の焦げやすさに関係してきます。
ゆっくりドラムが回転すると、豆のドラムとの接地時間が長くなります。ということは、熱くなる時間が増えるということなので、焦げやすくなってしまいます。

目安として1秒に1回転という基準もあるようですが、どんな味わいを作りたいかで調整がすると良いでしょう。

0~100まで5刻みで調整可能です。

コントロールポイント

Sandboxが優れている点として、設定した火力やファン・ドラムを瞬時に変更が出来る点です。

その変更点を時間で自動的に設定しておくことが出来ます。これがコントロールポイントです。
これをいくつも設置することが出来るので、

例えば、上の写真は3番目のポイントで
火力80・ファン35・ドラム100で360秒、

こんな感じで細かく設定することが出来ます。
コントロールポイントを制すものがSandboxを制すと言っても過言ではないでしょう(過言です)

ROR(Rate of Rise)

RORは、温度上昇率のことです。
Sandboxでは、1分あたり温度がどのくらい上昇したかを表します。

温度が一定に上昇していればその豆の今の状態に対して適正な火力を与えられていることになります。実際に、ただ、その適性がどこの指すのかは、目指すコーヒーによって変わるかと思います。それでも、この豆に対して毎回RORが10℃であれば同じ焙煎が出来ている指標になるので、味の均一性を保てていることになります。

しかしながら、RORを全ての時間で均一にすることはまず不可能なことで、豆投入してすぐは一気にドラム内の温度が下がるため上がる温度の幅も大きくなり、RORは20℃近くまで跳ね上がります。ですので、全ての時間帯のRORを均一に保つというより、あくまで焙煎の指標として捉えることで焙煎がしやすくなると考えられます。

第1クラック(第2クラック)

豆の中の水蒸気やガスが一気に出てはじけるハゼを指します。1ハゼを第2クラック、2ハゼを第2クラックと呼びます。

1ハゼは、200℃前後で最初に起こるハゼのことで、大きな「パチパチ音」が鳴ります。その後、細かな「ピチピチ音」が鳴り始めると2ハゼを迎えた証拠です。

それぞれ第1クラック・第2クラックを迎えたら、火力・ファン・ドラムをどうするかも調整可能です。

余熱

焙煎機内の温度を120~220℃で余熱が可能です。

余熱が高ければ最終的な200℃以上になるまでの時間が短縮されますし、余熱が低ければじっくり焙煎することも出来ます。

この余熱温度も、味わいの均一性という点では、焙煎量によってターニングポイントを揃えることでいつも同じ焙煎が出来ている指標にすることができます。Sandbox R1では、100gまでの焙煎量なので大きく変わることはないですが、R2では焙煎量に幅が出来ると思うので、余熱温度でターニングポイントを揃えることが重要になってくるかと思います。

ターニングポイント(中点)

豆を投入して焙煎機内の温度が下がりきって、これから温度が上がっていく温度のことをターニングポイント(中点)と呼びます。

このターニングポイントを揃えることで均一な焙煎が可能です。また、焙煎の手法としてターニングポイントを100℃以上の高温にするか、80~90℃程の低温にするかで味・香りの作り方が変わってくるとも言われています。

焙煎量が変化するようであれば、なるべく揃えてあげることで味が均一になり、求める味わいによってターニングポイントの温度を調整してみることが必要になります。

焙煎プロファイルを作ってみよう

それでは、ワードや機能がを理解した上でプロファイルを作っていきましょう。

①プリセット曲線で焙煎してみよう

まずは、アプリに入っているプリセット曲線で焙煎してみましょう。好み応じて、様々なプロファイルが用意されているので、浅煎り~深煎りを選んで焙煎を行ってみましょう。

2023.4月現在では、R1・R2用に焙煎量毎にプリセット曲線が用意されているので自身で焙煎する量に合わせて選んでみましょう。色々といじる前に一度焙煎してみることで同時に操作や流れも覚えていきましょう。

②カッピングして足りない要素を見つけよう

一度、選んだプリセットファイルで焙煎したらカッピングをしてみましょう。普段飲んでいる好みの焙煎度や、味わいと比べてどうかを考えてみましょう。

浅煎りが好みなら、もっと華やかさが欲しいのかすっきりさが欲しいのか,,,深煎りが好きなら、ストレートで飲むのかミルクで割るのか,,,など具体的なイメージをして方向性をなんとなくでも決めてみると良いです

おすすめは、プリセット中煎りで焙煎してみて、そこから浅くするのか深くするのかを決めていくのが分かりやすくて良いかと思いますので、試してみてください。

③ハゼ後の時間で焙煎度合いを調整しよう

シンプルで分かりやすいのが、ハゼが起こってからの時間を調整することです。
この微調整をすることで、好みの焙煎度を探ってみましょう。

10秒ずつ調整するだけでも味わいは大きく変わります。ハゼ後は一番コーヒーの味わい・香りを形成する時間帯でもあるので、ここを少し変えてあげるだけでも十分変化は感じられると思います。

④コントロールポイントを変えてみよう

好みの焙煎度・方向性が決まったらコントロールポイントで調整を行っていきましょう。アプリの変更したいポイント部分をダブルタップすると変更できます。生豆にも個性や含まれている水分量は違ってきます。次項目を意識してコントロールポイントを変更してみましょう。

ぼやけた味わいがするなら前半の火力を下げてみよう

生豆の状態で水分量が多かったり非常に硬い豆だったりすると火の入りが芯まで入らずに、表面だけ焦げてしまうことがあります。そのため、中は生焼けの状態になり個性が引き出されずにぼやけた味わいになることがあります。この場合は、芯までしっかりと火を入れる意味でも最初は弱火でスタートしてみましょう。

甘さを求めるなら後半徐々に火力を上げてみよう

水抜きがしっかり出来たら、甘さを出していく工程です。甘さはメイラード反応・カラメル化などの化学反応で起こり、’飴色玉ねぎが甘くて美味しい’みたいなイメージを目指します。火力が足りていないとこの化学反応も起こりにくくなっていくので、後半になるにつれて徐々に火力を上げてみましょう。一定の火力だとRORも落ちてくる傾向にあるので、なるべく保つような意識で上げていくと良いと思います。

⑤ハゼ後のファンを調整しよう

1ハゼを迎えると豆の温度上昇は一気に加速して、煙も増えてくるでしょう。スモーキーな味わいがするようなら、ハゼ後のファンを少し強めて上げることで解消されると思います。この時に、RORが極端に下がることは避けるようにしましょう。ハゼを迎えてから温度上昇が何も起こらないと香りが十分に出にくいことがあるので、うまくバランスを取りながらファンを調整してみましょう。

注意点として、Sandboxの排煙は横からなのでかなり勢いよく横から煙が噴き出してきます。換気扇の位置や、焙煎場所を気を付けて焙煎するようにしましょう。

⑥余熱を変えてみよう

意外と考えるのが難しいのが、この余熱です。特にSandboxでは、余熱をしてから豆を投入する時に焙煎機のパネルを開ける必要があるので、うまくドラムをセット出来なかったり、長い間時間をかけすぎてしまうと余熱温度を上げても下がってしまいます。

そのことから、他の焙煎機とは違う見方をして余熱は一番最後に調整しても良いのかなと個人的には思っています。一年半使い続けても、ガチャガチャなるときはなるので。

それでも、余熱はターニングポイントと非常に深い関係があるので、最終的に思い通りの味わいにならなかったら思いっきり変えてみると好みの味わいに近づくかもしれません。

鷲の珈房の焙煎プロファイル(中煎り)

実際に、中煎りで焙煎していたプロファイルをご紹介していきます。エチオピアのウォッシュドで焙煎していた時のプロファイルですので、参考程度に見て頂ければ幸いです。

初期設定

初期設定の余熱は190℃に設定していました。大体いつもターニングポイントが100℃前後くらいで止まるように意識していたので、この温度設定でしたが、夏場など室温が高い時は少し下げて焙煎しても良いと思います。

初期設定の第1クラックはこんな感じ。火力は50%に落として120秒で煎り止めしていました。煙がやや出るくらいで、第2クラック手前なので、浅すぎず深すぎず調度よいバランス感です。

2ハゼは迎えないので、火力0・一番短い10秒の設定。深煎りを求める方は、ここをずらしながら好みの焙煎度まで時間を延ばしてみてくださいね。

コントロールポイント

①まずは、投入後すぐなので120秒じっくりと豆を温めていきます。ファンも抑えながらターニングポイントを迎えます。

②ターニングポイントを迎えた後は火力を上げていき75までもっていきます。RORは15~18くらい上がっていくイメージです。

③ここからは徐々に火力を上げていきます。Sandbox自体がものすごい火力を売りにはしていないと思うので、イメージはガス火の中火くらいかな?という感じです。弱火では温度が上がりにくいので、弱火から中火に上げていくようなイメージで調整をしています。

④このあたりで色付き始めてイエローポイントがきます。ファンを少しだけ弱くして、火力を更に上げていきます。温度度帯は、150~160℃程でRORは10℃前後です。

⑤RORは徐々に落ちてくるので、更に火力を上げて一気にハゼに向けて進んでいきます。このあたりになるとRORは5~7くらいに推移してくるので、ほぼ火力MAXに近いですがじっくり待ちましょう。

⑥ファンを少しだけ調整しました。徐々にハゼが近づいてきます。温度変化を見ながら、豆の色付きにも注目していきましょう。

⑦豆によるかと思いまずが、大体このあたりから1ハゼを迎えるかと思います。温度は約200℃前後になるので、パチパチと音が鳴り始めたら第1クラックボタンを押します。

⑧このコントロールポイントは使う使わないが出てくるかと思います。これまでにハゼを迎えれば問題ないですが、迎えなければここでハゼを迎えてあげます。微調整用のポイントなので、豆によって⑦を長くしたり⑧を火力90に強めても良いかと思います。

⑨ハゼが起こらなかった時のために念のための設定です。このプロファイルでは使うことは少ないかと思います。

プロファイルまとめ

まとめ

・プリセットをうまく使ってプロファイルを作っていく
・カッピングして足りない部分を探して、まずはハゼ後の時間を調整して焙煎度を変えていく
・余熱はひとまずあと回しで、焙煎前半・後半をそれぞれ意識して味を作っていく

Sandboxの焙煎プロファイルの作り方をご紹介しました。

非常に優れた焙煎機であり、優れたアプリがあるので、プロファイル次第で間違いなく美味しいコーヒーを焙煎できます。

好みの味わいを目指して根気強く焙煎を繰り返して理想のプロファイルを探してみてくださいね。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
目次